① 主な症状(医学的見地) 正式名称は急性腰痛症といい、ドイツ語で「魔女の一撃」を意味するHexenschussとも呼ばれます。主症状は突然発症する激烈な腰部痛で、体動がほぼ不可能になるほどの強い痛みが特徴です。筋・筋膜性のものは腰部の局所的な鋭痛・強い筋スパズム(防御性収縮)が中心で、前屈・体幹回旋が著しく制限されます。多くは数日〜2週間程度で症状が改善しますが、下肢への放散痛・しびれ・筋力低下を伴う場合は椎間板ヘルニアや骨折の合併が疑われます。また発熱・体重減少・夜間痛を伴う場合は感染・腫瘍などの重篤疾患の除外が必要です。 ② 原因(医学的見地) 主な原因は腰椎周囲の筋・筋膜・靭帯・椎間関節などの軟部組織の急激な損傷です。重量物の持ち上げ・急激な体幹回旋・くしゃみなどの瞬間的な過負荷によって、脊柱起立筋・多裂筋・腰方形筋などの筋線維や筋膜に微細断裂・炎症が生じます。椎間関節への過度なストレスによる滑膜の嵌頓(かんとん)も原因のひとつとされています。素因として体幹筋の筋力低下・慢性的な筋疲労・骨盤アライメントの乱れ・睡眠不足・冷え・過去の腰痛歴などが発症リスクを高めます。精神的ストレスや過労も誘因となることが報告されています。 ③ 整体でできる対処法 発症直後の急性期(受傷後48〜72時間)は患部への直接的な強い刺激・マッサージ・温熱は禁忌です。この時期は安静の保持と楽な姿勢(膝を曲げた側臥位など)の確保を優先し、炎症の拡大を防ぎます。炎症が落ち着いてきた亜急性期以降は、周囲の過緊張筋(腰方形筋・梨状筋・大殿筋など)に対してやさしい筋膜リリース・トリガーポイント療法を行い、防御性筋スパズムの解除を図ります。仙腸関節・腰椎の軽度モビリゼーションによって関節機能を回復させ、段階的に可動域を広げていきます。セルフケアとしてコルセットによる一時的な腰部サポート・膝を曲げた状態での荷物の持ち上げ動作指導・体幹インナーマッスルの段階的な強化・再発予防のための姿勢習慣の改善もあわせてご指導されることをおすすめします。下肢症状や発熱を伴う場合は必ず医療機関との連携を優先してください。