20260523
「特に重いものを持ったわけでもないのに、腰が痛い」。そう話す患者さんに一日の過ごし方を聞くと、ほぼ例外なく返ってくる答えがあります。「デスクワークで、ほぼ一日中座っています」。実は、座る行為そのものが、腰にとって非常に過酷な負担なのです。
直立して立っているときと比べ、座った姿勢では腰椎にかかる圧力が約1.4倍に増加すると言われています。さらに猫背や骨盤が後傾した「崩れた座り方」では、その負荷はさらに跳ね上がります。長時間の座位が腰痛を招くのは、決して気のせいではありません。
では、正しい座り方とはどういうものか。まず意識していただきたいのが、骨盤を立てることです。椅子に深く腰かけ、坐骨(お尻の骨の先端)でしっかり座面を押すイメージを持ってください。骨盤が立つと、自然と腰椎に適度なカーブが生まれ、背骨全体が整います。
次に大切なのが、足裏を床にしっかりつけることです。足が宙に浮いていたり、組んでいたりすると、骨盤が傾き腰への負担が偏ります。椅子の高さを調整し、膝が90度になる姿勢を基本にしてください。
ただし、どれほど正しい姿勢でも、同じ体勢を長時間続けることは禁物です。45〜60分に一度は立ち上がり、軽く腰を動かす習慣が、腰痛予防の最大の武器になります。
座り方を変えることは、今日からすぐに始められるセルフケアです。道具もお金も必要ありません。必要なのは、自分の身体への、ほんの少しの意識だけです。