20260530
「頭痛が起きたらすぐに薬を飲む。もう何年もそれが当たり前になっています」。そう話す患者さんは、決して珍しくありません。痛みをその場で抑えられる薬の手軽さは確かに魅力的です。しかし私は施術を通じて、その習慣が身体に静かな代償を払わせていることを、繰り返し目の当たりにしてきました。
まず知っていただきたいのが、薬物乱用頭痛というリスクです。頭痛薬を月に10日以上、3ヶ月を超えて使い続けると、薬が切れるたびに頭痛が起きる「反跳性頭痛」が生じることがあります。痛みを抑えるために飲んでいた薬が、新たな頭痛を生み出す原因になるという皮肉な状態です。
整体師の視点から見ると、多くの慢性頭痛には頸椎の歪みと後頭下筋群の緊張が深く関与しています。首の骨のカーブが失われ、頭を支える深層筋が硬直すると、後頭部の神経や血管が圧迫され、頭痛が繰り返されます。薬はこの「結果」を一時的に消すだけで、「原因」には一切触れていません。
根本から改善するには、まず頸椎のアライメントを整え、後頭下筋群の緊張を丁寧にほぐすことが出発点になります。加えて、睡眠・水分摂取・長時間のスマホ使用といった生活習慣の見直しが、頭痛の再発防止に欠かせません。
薬を否定したいわけではありません。ただ、痛みは身体からのサインです。そのサインを薬で黙らせ続けることは、警報を鳴らし続けている火災報知器の電源を切るようなもの。根本の「火」を消すことこそが、本当の意味での治療です。